★Hotel California (-Eagles- )
★・1,300万人が暮らすマニラ市は、けして住みよい街ではない。
・地下鉄はない。人々の移動はもっぱら古い乗り合いバスの「ジプニー」だ。
・このジプニー、どこでも乗り降りができ安く便利だが、古い車が多く排気ガスをまき散らし警笛を鳴らしながら街を走っている。
・マニラの猛烈な暑さと排気ガス、道ばたに散乱するゴミ、路上で生活をする人々。
・ここは地獄かと、一瞬身を引くが、その雑踏の混乱にもなれてしまうと何も感じなくなる。
・行き交う人々の数も半端じゃない。その人々をターゲットにした商売がいろいろある。
・道ばたでタバコを吸おうが、大声で話そうが、薄汚れたシャツを着ようが、誰も何も言わない。
・ここは規制がない自由の街だ。金があればマニラはまさに天国だと、おもう自分にあきれてしまう。
・足でリズムを取っていた隣の若者に「この曲」の名前は何ですかと聞くと、ぶっきらぼうに「Hotel California 」と答えた。
・この年になるまで、Lock music なるものはいままで聞いたことは無かったが、なぜか雑踏と混乱の街を走るジプニ-にはぴったりの曲である。
・歌っているのは、米国のロックバンド「イーグルス」この曲は、アメリカン・ロック史に残る名曲らしい。
・歌詞の解釈も様々で、1970年代のアメリカ社会の空虚感やその中での閉塞感を、一度チェックインしたら二度と出られない架空の「ホテルカリフォルニア」に喩え、自由と繁栄の象徴の国「アメリカ・カリフォルニアで、昔の心を失った人々への叫び声の歌」とも解釈できそうだ。
★マニラ風に言えば、
・ようこそマニラへ。 マニラはすてきなところです。マニラには、もう昔の魂はありません。いやになれば、いつでもこの街から離れることはできます。
・でも、あなたはもうこの街から出ることはできません。それが、さだめ(運命)ですから・・という意味か?
★歌詞のとおり、この歌はマニラの風景によく合っている。
・1960年代、アメリカや日本では、豊かさを求めて人々は都会に流れてきた。
・今のマニラはその状況とおなじだ。貧しい農民達は、灯りをもとめてマニラへやって来る。
・金持ち達はベンツに乗り、女達はシャネルの香りを漂わしマニラはすてきなところと叫んでいる。
・商業資本主義に毒された街「マニラ」
・のんびり暮らしていた昔に戻りたいと田舎に戻っても、この金まみれになった資本主義からは逃れられない。
・夢に破れた人々は路上で生活をし、若者達はリズムにあわせて踊り狂っている。
・幼い子供達は破れたシャツを着て踊り、手をたたき裸足でものもらいをしている。
・マニラを離れては暮らしてはいけない。ここは、囚われた人々の暮らす街「マニラ」です。
・マニラの混乱と闇、これも人の定めかと思う自分に、いまはあきれている。
・ジプニ-は、ロックバンドイーグルスの「Hotel California 」の曲をかけながら、マニラの雑踏と混乱の中を警笛と排ガスをまき散らして人々を乗せて走り去って行った。